大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成2年(わ)205号 判決 1990年10月15日

本店所在地

大阪府豊中市刀根山六丁目五番二九号

三協不動産株式会社

(右代表者代表取締役 阪上智男)

本籍

和歌山県那賀郡打田町大字上野一五四番地

住居

奈良県生駒市俵口町一四二三番地の三五

会社役員

阪上智男

大正一五年一一月二二日生

本籍

愛媛県新居浜市新田町一丁目乙一五六四番地

住居

宮崎県南那珂郡南郷町西町一番地一八

団体役員

青野宜彦

昭和九年一月三〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官梶山雅信出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人三協不動産株式会社を罰金三七〇〇万円に、被告人阪上智男を懲役一年四月に、被告人青野宜彦を懲役一〇月に処する。

被告人阪上智男、同青野宜彦に対し、この裁判の確定した日から各三年間、それぞれその刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人三協不動産株式会社(以下、「被告会社」という。)は、大阪府豊中市刀根山六丁目五番二九号に本店を置き、不動産売買の斡旋等を業とするもの、被告人阪上智男は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているもの、被告人青野宜彦は、被告会社の税務申告に関与していたものであるが、被告人阪上智男、同青野宜彦の両名は、共謀のうえ、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、

第一  昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億五八二三万四一四二円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、架空支払手数料を計上するなどの方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年五月三一日、大阪府池田市城南二丁目一番八号所在の所轄豊能税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六一二万一三八二円で、これに対する法人税額が一八四万九七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六七四八万三五〇〇円と右申告税額との差額六五六三万三八〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れた、

第二  昭和六〇年四月一日から昭和六一年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が七二一九万四四二四円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、前同様の方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年五月二九日、前記豊能税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三七〇八万四八八九円で、これに対する法人税額が一四九九万一一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三〇一九万三七〇〇円と右申告税額との差額一五二〇万二六〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れた、

第三  昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が四八八九万七七六〇円(別紙(三)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、収入手数料の一部を除外するなどの方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年六月一日、前記豊能税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二四七二万六二七一円で、これに対する法人税額が九七二万二三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二〇一八万八四〇〇円と右申告税額との差額一〇四六万六一〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れた、

第四  昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億三五〇一万四一二四円(別紙(四)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、前同様の方法により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年五月三〇日、前記豊能税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二二万六五五四円で、これに対する法人税額が七一万二九〇〇円(ただし、申告書では、違算により六六万六〇〇〇円と記載)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五五七九万一〇〇〇円と右申告税額との差額五五〇七万八一〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注) 括弧内の算用数字は証拠等関係カードの検察官請求分の請求番号を示す。

判示事実全部について

一  被告人阪上智男、同青野宜彦の当公判廷における各供述

一  被告人阪上智男の検察官に対する供述調書五通(86ないし90)

一  被告人青野宜彦の検察官に対する供述調書三通

一  被告人阪上智男に対する収税官吏の質問てん末書一七通

一  被告人青野宜彦に対する収税官吏の質問てん末書五通

一  田口孝子(二通)、中村幸子(三通、55ないし57)、堀辺久子、油谷誠吾(二通)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(14、15、17、20、23、25、39、40)

一  豊能税務署長作成の証明書(10)

一  被告会社作成の証明書

一  大阪法務局豊中出張所登記官作成の商業登記簿謄本

一  検察事務官作成の報告書

判示第一ないし第三の各事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(16)

判示第一、第二の各事実について

一  河岸武士に対する収税官吏の質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(12、33)

判示第一の事実について

一  豊能税務署長作成の証明書(5)

判示第二ないし第四の各事実について

一  徳永多喜男の収税官吏に対する質問てん末書二通

一  収税官吏作成の各査察官調査書(11、21、35、36)

判示第二の事実について

一  範國潤三、中野俊彦、中村幸子(58)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(19、22、28、32)

一  豊能税務署長作成の証明書(6)

判示第三、第四の各事実について

一  富永保の収税官吏に対する質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(13、18、24、26、27)

判示第三の事実について

一  牧口祥一、進戸政治、森寛治、平岡久雄、谷口秀之の収税官吏に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の査察官調査書(30)

一  豊能税務署長作成の証明書(7)

判示第四の事実について

一  池野一四の収税官吏に対する質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(29、31、34、37、38)

一  豊能税務署長作成の証明書(8)

(法令の適用)

被告人阪上智男、同青野宜彦の判示各所為はいずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人阪上智男を懲役一年四月に、被告人青野宜彦を懲役一〇月にそれぞれ処し、情状により同法二五条一項を適用して、被告人阪上智男、同青野宜彦に対し、この裁判の確定した日からそれぞれ三年間右各刑の執行を猶予することとする。

更に、被告人阪上智男の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金三七〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 仙波厚)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和59年4月1日

至 昭和60年3月31日

三協不動産株式会社

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和60年4月1日

至 昭和61年3月31日

三協不動産株式会社

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和61年4月1日

至 昭和62年3月31日

三協不動産株式会社

<省略>

別紙(四)

修正損益計算書

自 昭和62年4月1日

至 昭和63年3月31日

三協不動産株式会社

<省略>

別紙(五)

税額計算書

三協不動産株式会社

<省略>

税額計算書

三協不動産株式会社

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例